漫画の校正は、抽出したセリフ一覧だけでは完了しません。吹き出しを読む順、誰の言葉か、絵と台詞が一致するかはページを見なければ判断できないからです。見開き単位の完成画像とセリフを対応させ、文字と視線の流れを同時に確認します。
ページ上で見る六項目
- 吹き出しを自然な順番で読めるか
- 話者と口調が人物設定に合うか
- 誤字、脱字、重複、句読点の不整合
- 文字が枠へ近すぎないか、途中で切れていないか
- ルビ、傍点、縦中横などの表示が正しいか
- セリフ、効果音、看板文字と絵に矛盾がないか
文字確認に加えてページ全体を見るため、完成PDF校正の観点も一部重なります。画像化した効果音は検索対象にならないので、対象範囲へ明記します。
実作業の進め方
- 全ページへ通し番号を付け、見開きの左右を確定する。
- 人物別の呼称・口調表と、意図的な表記を渡す。
- 指摘を「ページ・コマ・吹き出し番号」で特定する。
- 原文、修正候補、理由を対応させ、作者が採否を付ける。
- 修正後PDFを作り、同じ箇所の文字切れと改行を再確認する。
校正回数の役割は初校と再校の分け方を参考にします。セリフを長く直すと吹き出しへ収まらないため、意味だけでなく文字量も採用判断に入れます。
漫画特有の失敗例
吹き出しAの誤字を直したつもりで隣の同じ台詞だけを変更する、縦書きで記号の向きが変わる、ルビ追加で本文が下へ押し出される、といった事故があります。指摘位置を座標ではなくページ・コマ・番号で二重に示すと取り違えを減らせます。
また、絵では右手に持っている物を台詞で「左手」と言う、昼の場面なのに「今夜は暗い」と言うなど、言葉と画像の不一致も見ます。
書き出し後の確認
- 見開き順とページ番号が正しい
- すべての指摘に採否が付いている
- 修正後も文字が吹き出し内に収まる
- ルビ・記号・画像内文字を目視した
- 最終PDFを別の表示環境でも開いた
文字修正の担当を決める
校正者が画像へ直接文字を入れ直すのか、作者や写植担当が指摘を反映するのかを先に決めます。後者の場合、修正候補だけでなく改行位置やルビの対応も伝えます。反映担当が複数いると同じ吹き出しを二重に直すため、ページ単位で担当を割り当てます。完了印は元データではなく共有の指摘表へ付け、再書き出し後に校正者が照合します。
一ページを読む順に追跡する
- 最初の吹き出しへ番号を付ける
- 視線の移動に沿って次の番号を振る
- 話者と表情を台詞表へ照合する
- 見開き全体で逆流がないか確認する
誤字がなくても読む順が曖昧なら、指摘を台詞だけで閉じません。
制作前に確認する公式資料
仕様・利用条件など、この記事で扱う確認事項に関係する一次資料です。デザインや編集上の判断そのものを保証するものではありません。制作前に利用先の最新条件を確認してください。
リンク確認日: 2026.08.31よくある質問
セリフのテキストだけを渡せば校正できますか?
誤字の一部は見られますが、吹き出し順、話者、絵との矛盾、文字切れは判断できません。少なくともページ番号付きの完成見開きも共有します。
手描きの効果音も校正対象にできますか?
可能かは依頼範囲によります。画像化された文字は検索できないため、対象にする効果音や看板文字を明示して目視確認を頼みます。
修正指示はどの形式が分かりやすいですか?
ページ上の該当位置へ番号を付け、原文、修正候補、理由を一覧で対応させる形式が追跡しやすいです。使用ソフトに合うPDF注釈も選べます。



