小説校正へ渡すのは、本文ファイル一つだけではありません。校正者が迷ったときに作者の意図へ戻れる資料をそろえ、作業開始時の原稿版を固定します。何を直してよく、何は残すかが一枚で分かる依頼書を作ることが結論です。
開始前にそろえる七点
- 作品名、ジャンル、年齢区分、文字数、原稿の版番号
- 校正対象と、構成・文体など対象外の項目
- 人物名、呼称、地名、架空用語の一覧
- 数字、記号、漢字・かな等の表記基準
- 意図的な反復、崩し、誤用に見える表現
- 希望する変更履歴やPDF注釈などの納品形式
- 初稿返却、作者確認、再校、入稿の締切
人物表の作り方は固有名詞の校正手順を、変更範囲は校正・校閲・リライトの境界表を使うと整理できます。
原稿を渡すまでの実行順
- 推敲を終え、校正中に本文を別編集しない期間を決める。
- ファイル名へ日付と版番号を付け、閲覧用コピーを作る。
- 冒頭だけでなく、会話・地の文・特殊表現を含む箇所で試し校正を受ける。
- 指摘の細かさと対象外への触れ方を確認し、依頼書を更新する。
- 受け渡し方法、保管期間、作業後の削除について合意する。
完成組版後にも確認を頼むなら、テキスト校正と完成PDFの校正を別工程として日程へ置きます。文字数が変わった場合は料金や納期への影響を先に相談します。
準備不足で起きる問題
作者だけが知る愛称を誤字として直される、縦書き用の記号方針が途中で変わる、校正中に作者も原稿を修正して変更が衝突する、といった問題は資料と版管理で防げます。「お任せ」と書くより、判断に迷ったら変更せずコメントにする、と伝える方が安全です。
送付直前のチェック
- 依頼書と本文の版番号が一致する
- 人物・用語表に読みと例外がある
- 対象外の作業を明記した
- 返却後に採否判断と再校を行う時間がある
- 共有リンクの権限と削除時期を確認した
資料は完璧でなくて構いません。未定を未定のまま明示すれば、勝手な推測を減らせます。
返却後の受け皿を用意する
校正結果を受け取ってから管理表を作ると、指摘を落としやすくなります。依頼前に、指摘番号、採否、反映者、反映日、再確認の列を用意します。疑問点は本文へ直接書き込まず、質問欄へ集めてまとめて確認します。最終的に未解決が残った場合も、意図的に残したのか時間切れなのかを区別でき、入稿判断を曖昧にしません。
制作前に確認する公式資料
仕様・利用条件など、この記事で扱う確認事項に関係する一次資料です。デザインや編集上の判断そのものを保証するものではありません。制作前に利用先の最新条件を確認してください。
リンク確認日: 2026.08.31よくある質問
推敲途中の原稿でも校正を予約できますか?
予約できる場合はありますが、作業開始時に渡す版と文字数、変更予定を伝えます。校正中の原稿を別に編集すると差分統合が難しくなるため、開始時点で版を固定します。
人物表はネタバレを含めてもよいですか?
矛盾確認に必要なら含めます。秘密保持とデータ管理を確認したうえで、校正に必要な範囲を別紙で安全に共有します。
表記ルールをまだ決めていない場合はどうしますか?
頻出語、数字、記号、人物名だけ先に決め、残りは「指摘を受けて相談」とします。表記表の作成自体がサービスに含まれるか確認してください。



