小説組版の依頼で最初に渡すものは、本文ファイルだけではなく「どんな本へ仕上げるか」を判断できる依頼書です。判型や縦横、扉の数、ルビの扱いが分からないままでは、見積もりも見本組みも仮定だらけになります。未定は隠さず、相談項目として分けます。
依頼セットを五つに分ける
- 誤字修正と変更履歴を反映した本文原稿
- 判型、綴じ方向、予定ページ数、印刷所候補
- 縦書き・横書き、書体の雰囲気、余白などの希望
- ルビ、傍点、挿絵、章扉、空白ページの一覧
- 希望納期、校正回数、完成PDFや元データなどの納品物
Word原稿を渡す場合の整理はWord原稿の受け渡し方へ進みます。複数ファイルに分かれているなら、読む順番も添えます。
希望を測れる言葉へ変える
「文庫らしく」「ゆったり」「おしゃれ」といった感覚語だけでなく、どの読者が、どんな場面で、何を読みやすくしたいかを書きます。参考本がある場合は、丸ごと同じにするのではなく「行が詰まりすぎていない」「章扉は題名だけ」など注目点を指定します。
- 一行が長すぎず会話を追いやすい
- ルビが多くても行間が窮屈に見えない
- 章の始まりが一目で分かる
- 奥付と目次を含めて落ち着いた印象にする
文字サイズの決定は文字サイズと行間のように見本組みで比較する前提を伝えます。
例外を先に一覧化する
通常ルールから外れる箇所ほど、作業後の手戻りを生みます。手紙だけ横書き、特定人物の台詞だけ書体変更、章の途中に図版、意図的な空白ページなどを、章名と原稿内の目印付きで示します。完成見本があるならPDFを添えますが、編集可能な文字情報も残します。
原稿確定前の丸投げを避ける
組版開始後に全文差し替えを続けると、改ページ、目次、ノンブルが連鎖して変わります。「あと少し直す」箇所を曖昧にせず、原稿確定日と、確定後に許容する修正の種類を決めます。未完成で概算を取る場合は文字数の増減幅を明示します。
送信前の依頼書レビュー
- 原稿の版番号とファイル順が分かる
- 本の仕様で確定・未定が区別されている
- 希望と参考例に理由を添えた
- 特殊指定を章・ページ・語句から探せる
- 元データ納品を含む成果物と利用範囲を確認した
制作者がこの依頼書だけで見本一ページの判断材料をそろえられるなら、見積もり後の質問と認識違いを大きく減らせます。
制作前に確認する公式資料
仕様・利用条件など、この記事で扱う確認事項に関係する一次資料です。デザインや編集上の判断そのものを保証するものではありません。制作前に利用先の最新条件を確認してください。
リンク確認日: 2026.08.31よくある質問
判型や印刷所が未定でも組版を相談できますか?
相談はできますが、ページ寸法や塗り足しは最終的に商品仕様へ合わせます。候補と優先条件を伝え、どの時点までに確定すべきか制作者へ確認してください。
参考にしたい商業本を送ってもよいですか?
書名と参考にしたい点を伝えるのは有効ですが、そのまま複製する依頼は避けます。「余白の広さ」「章扉の静けさ」など要素を言葉にして、自作の方向性として相談します。
原稿が少し未完成でも見積もりを頼めますか?
概算相談はできます。現時点の文字数、完成予定、増減幅、未確定箇所を示し、原稿確定後に費用と納期を再確認する前提を合意します。



