小説本文の文字サイズと行間には万能値がなく、実際の書体・行長・余白で組んだ見本を仕上がり寸法で読んで決めます。画面を拡大すればどの案も読みやすく見えるため、数値の比較だけで校了しないことが重要です。
見本に使う文章を選ぶ
冒頭だけでなく、会話が続く場面、漢字が多い地の文、ルビ、数字、長い段落を含む、性質の異なる代表ページを複数選びます。同じ文章へ書体と余白を固定したまま、文字サイズと行間だけを変えた候補を作ります。一度に多く変えると、どの差が読みやすさへ効いたか分かりません。
- 一行を読んだ後、次の行頭を迷わない
- 似た字形や濁点を無理なく判別できる
- 会話の短い行が上下に散りすぎない
- ルビが前後の行へ触れない
実寸で読む環境をそろえる
- PDFを仕上がり寸法で印刷するか、実寸表示できる画面へ出す。
- 机上と手持ちの両方で、一ページを通して読む。
- 読み返した行、目が滑った段落、窮屈な箇所へ印を付ける。
- 候補ごとのページ数を概算し、予算との関係も記録する。
見た目の評価軸は作風と読みやすさも使い、装飾性と本文の負担を分けて考えます。
行間だけで解決しない例
長い一行が追いにくいとき、行間を広げても視線の横移動は短くなりません。まず本文幅と文字数を見直し、その後で行送りを調整します。反対に短い行ばかりでページが散漫なら、余白を少し見直す選択もあります。余白とのバランスは本文余白と綴じ代につなげます。
画面の印象だけで小さくしない
ページ数を減らすため文字と行間を同時に詰めると、どちらが読みにくさを生んだか戻せなくなります。また、見出しだけのページで評価すると、密度の高い本文ページの問題を見落とします。必ず同一文章の候補を残してください。
本文設計を確定する基準
- 異なる密度のページを実寸で読んだ
- 本文、ルビ、欧文、記号を判別できる
- 行を追いやすく、広すぎる空白もない
- ページ数見積もりと予算が両立する
- 候補を第三者にも読んでもらい理由を記録した
選んだ数値、書体、判型を組版仕様書へ記録し、以後の修正では一項目ずつ変更して比較可能な状態を保ちます。
制作前に確認する公式資料
仕様・利用条件など、この記事で扱う確認事項に関係する一次資料です。デザインや編集上の判断そのものを保証するものではありません。制作前に利用先の最新条件を確認してください。
リンク確認日: 2026.08.31よくある質問
おすすめの文字サイズを一つだけ教えてもらえますか?
同じ数値でも書体の実際の大きさ、判型、行長で見え方が変わるため、一つに固定できません。候補を同じページで組み、仕上がり寸法で比較してください。
行間を広げるほど読みやすくなりますか?
広すぎると次の行へ視線を移しにくく、文章が分断して見えます。狭すぎる場合との中間を、会話と長い地の文の両方で試します。
ページ数を減らすため文字を小さくしてよいですか?
予算調整の手段にはなりますが、読みにくさが作品価値を下げる可能性があります。判型、余白、行数、用紙や仕様も含めて複数案を比較します。



